【特集】中牟田純が行く!



『街の社食開発人インタビュー!!規格外の旅食人とは!?中牟田純の魅力に迫る!?』

インスタグラムで食の投稿を中心に活躍し、飲食店のPRのほかGoogle認定のフォトグラファーとして活動する今人気の中牟田純。FUKURoが展開する街の社食において飲食店の開発を担当している彼の普段の活動に密着。食のインスタグラマーの日常はどのようなものなのか。3月のある日、その日は高気圧の影響で4月のような暖かい1日となった。今日は麹町を開発するということで同行させてもらった。

中牟田氏と合流して話を聞きながら歩き始めた。

—おもしろい肩書きをお持ちですね。規格外の旅食人。どのような経緯でこの肩書きを名乗られるようになったのですか?

中牟田 純(以下、中牟田) : 実は以前は会社員で、引越しの仕事をしていました。20代のときは大きなトラックに乗って、日本全国いろんなところに行きました。引越しというのは運送業の中でも特殊な仕事で、いつも決まったところへお荷物を運ぶわけではなくて、お客様の行く先(遠方だと転勤や実家に帰られるなど)によって、毎日違う土地に行きます。そんな仕事の道中で、国道沿いにある家族で経営されている様な定食屋さんや、県境を跨ぐ山道や漁港町にある食堂に立ち寄ることがありました。昔から食べることが大好きだったので、せっかくいろんな所に行くのだから、その土地の美味いものを求めて、少し遠回りすることもありました(笑)

—そんなこと言っても良いんですか。(笑)

中牟田  :  今だから言えるみたいな(笑)その時は京都に住んでいたので、仕事が休みの日は京都や大阪、神戸など関西一円で食べ歩きをしていました。その時もそうなんですが、とにかく料理が美味しくて素敵なお店をたくさん見てきました。また、そういうお店に限ってお店の方も楽しそうに仕事をされていて、お客さんも笑顔で食事をされている。そういう姿を見てるうちに飲食業って楽しそうだなとか、飲食店の経営ってどういうものだろうと漠然と思い始めてましたね。

—引越しの仕事に不満があったんですか。

中牟田  :  いや、そういうわけではないですよ。引越しの仕事もただお客様のお荷物を運ぶだけではなく、人生のターニングポイントでお手伝いさせていただくお仕事ですので、コミュニケーションが一番大切なお仕事やと思ってます。引越しは多い方でも人生で数えられるほどの回数で非日常なものですが、衣食住の中で“食“に関わる飲食業はどちらかというと日常になりますよね。まあ、これは接客で通ずるところではあると思うんですが、顔馴染みや常連客やご新規のお客さんと店主さんとのやり取りを見ているとコミュニケーションの中に感じる“敬意“と“感謝“がとても心地よく感じるんですよね。そういう日常の一部みたいなものに少し憧れみたいなもんはあったかもしれないですね。

—ちなみに京都に住んでいたのにどうして上京されたんですか。

中牟田  :  引越しの仕事の時に東京にもよく出張で来ていました。仕事終わりにこちらに住んでいた親戚と久々に会い、親戚のおすすめのお店にはよく行きましたね。で、そのお店というのが自分の前職である池袋にあるイタリアンレストランでした。そのイタリアンレストランはスタイリッシュでオシャレで食事も美味しいだけじゃなくてお店のスタッフとお客さんとの間に感じる“敬意“と“感謝“さらに“物語“があるんだなと体感しました。お店に対して、お客様に対して、食材に対して、生産者に対して、敬意、感謝、物語を大切にされている。こういう飲食店で働いてみたい!という思いが具体的に初めて芽生え、転職を決心して東京に来たのがきっかけです。

—初めての飲食店は大変だったのではないですか。

中牟田  :  飲食業は全くの初めてで、私はどちらかと言うと作り手よりはサービスがしたかったので、初めはホール業務、一からお皿の持ち方、立ち振る舞い、言葉の言い回しなど時には大学生の先輩に教わったり、自宅でお皿を持って練習などしました。

—たくさん苦労をされたんですね。

中牟田  :  でも1年後にマネージャーになることができて、その時はいろんな仕事さしてもらいましたね。

—上京も食がきっかけになってるんですね。

中牟田  :  そうなんです。東京に来たらお店も多いしめっちゃ楽しくて、仕事がお休みの度に都内(関東圏)の色んなお店に行って食事したりその土地を歩いてみたり、連休なんかもらった日には朝早く起きて新幹線に乗って仙台に行ってみたり、飛行機に乗って福岡に行ってみたりしました。そうしてるうちに周りの人からは「規格外の行動だね!」なんて言われるようになりました。(笑)食べるのが好きで旅するのも好きで、ふとこれ並べたらおもろいなあと思って。それがきっかけで名乗るようになったんです。キーワードを単純に並べたんですけど、規格外の旅食人て、文字のバランスも言葉の響きもええなあって思って。そしたら意外と周りの反応も「おもしろいね。」って言ってもらえるようになって、だんだんと認知度が広がってきて、友達やその友達の友達まで、都内はもちろん旅行先などからも美味しいお店教えてと頼まれるようになりました。それが今にも続いてるって感じですね。

—とっても心温まるお話の反面、人の肩書きと言うのは意外とシンプルに決まっていくのだなと感じながら質問を続けた。ところで、本日は開発ということですがどのようにして進めていくのでしょうか。

中牟田  :  開発ってゆうと大袈裟かもしれませんけど、まずは歩いて見てまわるって感じですね。

—見てまわるポイントとかってあるんですか?

中牟田  :  お店の外観や雰囲気が一番ですね。働いている方がお昼休憩で使われるサービス(場所)なので、入店してからは、休める所なのか、お腹一杯食べれるところなのか、食事の提供スピードはどうなのかみたいなことを重視して見ています。

—事前に調べたりもするんですか?

中牟田  :  もちろん調べます。インスタとかあとはGoogleMapとか。で、この辺が栄えてるなあってとこを絞って見てまわる感じです。インスタとかで直接DM(ダイレクトメッセージ)させてもらうこともありますよ。

—この日も事前に調べていたらしく見てみたいお店があるということでその数軒を中心に回った。同じ通りを何回もまわることもあれば、一度でそれっきりという通りもある。ようやく、本日入るお店を決めたようだ。ランチは定食を売りにしている居酒屋のようだ。入口の階段を降りるとランチ営業を開店したばかりのお店にお客はまだ1組のみ。いつもより早めのランチだ。

中牟田  :  早い時間の方がお店の人とも少し会話ができるから、その方が良いんです。とくに初めて行くお店とかは覚えてもらえたらなあみたいなんもあって。

—中牟田氏はすぐに店員さんに店長さんの所在を確認していた。店長さんはまもなく来るとのことで今は不在のようだ。その日は中牟田氏が注文したのは唐揚げ定食。なぜそのメニューなのかを聞いてみた。

中牟田  : いやあ実はその前日の晩ごはんで魚を食べました。なので今日のお昼は気分的にお肉(唐揚げ)が良いなあと思ってたんです。

—意外にシンプルな回答だったことに多少驚いたがこれも彼の人柄なのだろう。注文を終えるとビュッフェ形式のサラダを盛り付けてきた。なんとも美味しそうに盛り付けられているのでこれもちょっと聞いてみた。

中牟田  : ビュッフェなので好きなものを盛り付けただけなんですが、身体のことを考えてバランスよく口にすること、メインが唐揚げのなので写真を撮った時の背景など色合いも考えてこれにしました。まあ、映えることは多少は意識してますよ。

—まもなくして唐揚げ定食が運ばれてきた。並びを整えて写真撮影の時間だ。

—写真はどのような目的で撮っているのですか?

中牟田  :  もちろんインスタですよ。あとは、街の社食のバナーなんかにも使いますけど。

—撮り方のコツなんかもあるんですか?

中牟田  :  自分は結構モノに対してある程度近くで撮るようにしています。唐揚げを一番前にして、その後ろに白飯、お味噌汁、サラダ、香の物、一つの画角に全て収まるように意識しています。

 

 

—しっかりと自分自身のこだわりがあるようだ。食べる姿があまりにも美味しそうに食べるので中牟田氏に今日の唐揚げ定食の感想を聞いてみた。

中牟田  : 熱々で衣がホクホクしててめっちゃ美味いです!肉もめっちゃジューシーで!実はね、さっき聞き耳を立ててたら自分たちの前に入られた常連さんと思わしき隣の席の男性が迷うことなく唐揚げ定食を注文してたんですよ。だから唐揚げにしたんです。(笑)ホンマは生姜焼き定食もいいな〜と思ってましたが、隣の席の先輩が注文してはったし、郷に入れては郷に従がったまでです。経験上、それが外す確率が一番低い!まあ、お肉が食べたかったっていうのも大きいんですけどね!(笑)

—そんな理由があるならさっき聞いた時にいっておくれと思う気持ちを整理していると、出勤をされた店長さんがわざわざ席まで来てくれた。お店のお話を聞いたあと中牟田氏はまた後でくる約束を取り付けた。街の社食の交渉のようだ。

—意外とスムーズに決まるものなんですね?

中牟田  : いや、実際のところはそうではないです。今日のは稀なケースです。前職で多少の営業経験などはありますがこの今のお仕事はコミュニケーションをとってナンボって所があると思っています。

—では、結構苦労もされてるんですか。

中牟田  :  めっちゃあります!初めは「はぁ?おたく誰?」みたいに思われることも多々でして…(笑)その対応が結構キツイんすよ。でもお名刺をお渡ししてご挨拶し、自己紹介すると「えっ!そうなん!?」みたいにちゃんとした対応をしてくださるところもあります(笑)これ結構しんどくて、毎日、自分の強みを生かしながら、弱い部分を知らされる日々で、まだまだだなぁと思い知らされている旅食人です…(泣)(笑)そうゆう時って、悔しいなぁと思いながら、天気のいい日はその開発している界隈の公園や神社の境内で、歯痒くて現実逃避して一点見つめの時もあるし…雨の日にはコンビニのイートインでスモールサイズの100円コーヒーで1時間くらいグルメ動画を見て滞在させていただいている時もあります…(笑)でもやっぱり人とお話しするのとかがすごく好きなので、素敵なお店に出会えたり、店主さんの人柄やそこで働くスタッフさんを見ていて「アカン!自分にもやれることはある!」と思わされる“起き上がり小法師“のような毎日です。旅食人としての自分の好みのお店と、お勤めの方々のお昼ごはんのニーズなど、様々な視点で飲食店を見るように心がけていますが、どうしても昔ながらの定食屋さんとか町の中華料理屋さんとか、人情味溢れるお店に傾いてしまいがちになってしまいます…(笑)なので、女性がお好きな感じのオシャレなイタリアンとかカフェに一人で入る時は、何回もお店を行ったり来たりして、めちゃめちゃ緊張したりなんかしてます…(笑)

—その風貌でお店の前を行ったり来たりしていたら不審がられるだろうなと思いつつ、たくさんのエピソードを聞かせて頂いたお礼を伝える。苦楽あり陰の努力ありのとても楽しい時間でした。最後に街の社食にかける意気込みだったり考えを聞かせてもらえますか。

中牟田  : このお仕事を引き受けた時に思ったことですが、せっかく大好きな『食』のお仕事をさせていただくので、毎日、感謝の気持ちを忘れず「ありがとうございます!ご馳走さまでした」とお店の方、作ってくれた方、配膳してくれた方に当たり前のことですが目を見て伝えるよう心掛けています。企業の福利厚生サービスですが、社長さんも役員さんも部長さんも、次長さんも課長さんも係長さんも、主任さんも一般社員さんも新卒の方々も、働いている方のお昼ごはんって失敗がきかないと思うんですよね。限られた時間の中で、憩いになっているかやお腹を満たせるだけの量はあるのか。また食事の提供が遅くなりその後の時間がバタバタになることで午後からのお仕事のスタンバイに支障をきたすとかがあってはいけない。せっかくの大切なお昼ごはんなので、そういったところを考えに共感してもらえるようなお店に参加してもらえたらなあと考えてます!微力ながら、そんな働いている日常の中で、皆さんの“お昼ごはん“がちょっとお得に食べられるということと、その界隈の地域の飲食店の活性化に繋がることが出来れば、“規格外の旅食人“としてこれらの活動が、双方への社会貢献になってくれるのではないかと考えております。色んなお店のご紹介をさせていただきたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願い致します。

 

良いお話を聞かせて頂きました。本日はありがとうございました。お礼を伝えると中牟田氏はまた街の中に消えて行った。気になるお店で一杯やるらしい。彼の口から出てくる言葉には頑固さと優しさが常に感じられる。人の気持ちを考えながらも自分の1本の筋を大切にしている証だろう。街の社食とは中牟田氏の人柄がつなぐ縁なのだと改めて感じた1日となった。

つづく。

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(編集・インタビュー:多田 陽一)